講 演 の 概 要
- 21世紀は「人間が主役」の時代である。かつては、企業が主役で、企業のシナリオどおりに働く“会社人間”であるのが良しとされていたが、いまや先行きのシナリオが描けないことから、自分のことは自分で面倒をみなくてはならない世の中だ。自分がシナリオを書き、自分で演出して、自ら演技をする自立人間になっていくのが、これからの人生をしなやかに生き抜くために必要である。
- 人間が主役の時代の動きに3つのこだわりを感じる。1つは『縁』にこだわっていく。要するに「一人じゃ生きられない 世の中」だ。だから学校の縁、趣味の縁、仕事の縁。みんな『縁』にこだわりながら生きていく。一緒に生きて行こうという 『共生』の感覚が普及する。 2つ目が《人》にこだわり始めた。これだけ世の中が厳しいと、人を見つめる目も非常に厳しい。自分が納得できる人間 と付き合い仕事をしていく、そういう時代になってきた。 3つ目が《しぐさ》にこだわり始めた。仕草・行動・ふるまい。これだけハイテクが進むと、逆に人間くさい行動、人間らしい 行動が注目されてくる。
- 主役として振舞うためには相手役(しん友)が必要 。《相手役》という素晴らしい仲間が非常に大事。そう考えると、相手役探しを一生懸命にやって、仲 間を増やしていくことが重要である。
- しん友とは「幸福感を増やし合える友達」のこと 相手がどう位置づけるかによって真友、信友、心友、深友になる。
- 「しん友」の存在が熟年時代を心豊かにしてくれる。幸せは物やお金でなく、心豊かに過ごす時間のトータルである。熟年じだいこを新友をつくることが大切だ。要は孤独感を減らし、幸福感を増やし合えるような友達を増やしていく。それがしん友づくりである。
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<好感人間のふるまいしぐさ>
- 好感人間(旬の人)でないと仲間も増えない。自分自身に魅力がないといけない、EQ能力を高めたい。(旬の人=EQ=香=自立)(注)EQ:emotional quotient IQに対して情動指数、心の知能指数
→好感度を高めるよう努力したい。
- 旬である人が好かれるイメージは、大きく分けて2つある。1つ目は「心配りのある人(ユーイズム)」。2つ目は「知恵のある人」。
知恵」とは知識があるということでなく、人との出会いを楽しむということ、出会いを楽しむとは聞き上手となり《ことばの杖》を掴むことだ。そのことばの杖をいっぱい持った人が知恵のある人である。人間だから悲しい時も、苦しいときも 、辛い時も、いろいろある。そういうときにことばの杖があると、したたかに、しなやかに人生をやっていける。 たとえば大好きな言葉に、「今日までのことは明日の準備」という言葉がある。 今日の瞬間はすべて明日にある。過去を振り返って、「あの時あんなことをやらなければよかった」と一切考えない。常に前を 向いている。そういう《ことばの杖≫は人と出会うことによって得られる。 《知恵のある人》になっていくもう一つのポイントは、「人を巻き込む力を持つ」ということだ。これは人を引きつける《香 り》のこと。人を引きつける香りがないとよい仲間も増えない。
- ゆさぶりしぐさ
《仕掛け人》になること。自分から仕掛けるのであればどんな仕掛けでも いい。いい友達をつくるには積極性が必要である。
質のいい情報人間を仲間に巻き込むためには、仕掛け人となり人の心を「ゆさぶること」が大事になってくる。「ゆさぶ り・しぐさ」を身につけるためには、《5マメ人間》になることである。足まめ・筆まめ・電話マメ・世話マメ・出マメである。「出まめ」は外に出ることだが、熟年時代におろそかになりがち、重視したい。
- しかしこうした仕掛け心は、人間関係の必要条件であっても、十分条件ではない。十分条件を満たすには、うまくコミュ ニケーションをとっていかなければならない。
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<コミュニケーションの方法(対話しぐさ)>
- まず基本は、「あたたかい言葉・声」をかけること。それは、心をかけるということだ。
- もうひとつは、「理解できる言葉・納得できる言葉」を用意する心配りである。どう言えば相手がわかるのか、受け止めやすい言葉使いをしているか、よく考える。本人だけがわかる言葉では、聞いている方は白けてしまう。ところ が自分が理解、納得できる言葉使いをすると、相手は非常に反応がし易いもの。 特に若い人に何かをやらせたい場合、その人が理解し、納得できる言葉使いをすることが大切。「これはあなたにとって 、とてもプラスになる」というように、相手にとってどうなのかを納得、理解させる喋り方をすると、相手はその気になってく れる。
- 三位一体 のコミュニケーションがいい(@声音大きく A中身:話題は前向きに(×愚痴) B動作:相手にしゃべらせるように)
- コミュニケーションの隠し味
《イエス・バット方式》というのがある。これは会話にリズムがつくまで「イエス」 を続けるというもの。例えば、「今日は暑いですね」と言われたら、「本当に暑いですね」と返すのがイエス。ところ が「私はちっとも」と返されたら、そのとたんに気持ちは白け、その後何も言う気がなくなってしまう。自分が納得できな くても、まず相手に言いたいことを全部言わせてしまう。相手が言い終わった後に、「でも私はこう思う」つまりバットを提示したとしても、会話のリズムは途切れることなく続いていくものである。
- また、聞き上手な人は相槌が上手いもの。聞き上手の秘訣は、同じ相槌を二度続けないことである。相槌に変化をつけなが ら反応することで、相手は自分の話を聞いてくれていると感じ、嬉しくなって、更に喋ろうとするであろう。 とっておきの秘訣は、ある瞬間《観音様》になることである。「観」は「人生観・処世観」という意味で、 相手の物の見方や考え方を、音で見て聞いてやるのが観音様。その過程を手抜きしなければ、相手もこちらの話にきち んと耳を傾けてくれる。
- 次の隠し味は《ボディーランゲージ、体の言葉》。会話をしていて相手の言うことに納得したら、眉毛をぐっと上げた表情を作りながら、「そうなの!」と言ってあげる。更に、相手の言うことが心から納得できたときには、「そうなんだよ !」と自分のひざを叩くなり、相手の肩をポンと叩くなりして、話に乗っていることを自分の体で表わすとよい。
- 目しぐさ
ネクタイとか相手の鼻の頭にそれとなく視線をおく、ポイントのときは相手の目を見る。目はわらっているのがいい。笑顔なのに目が冷たくてはいけない。
- 次は「陽性、ネアカ」。陽性、ネアカの人は周りを明るくすから、そこにいるだけで周りをほっとさせるよ うな《いるだけボランティア》になってください。周りを明るくするにはユーモアが必要。ユーモアを持つには、自分をからかう、ほんの少しの勇気を持つこと。職場でも家庭でも、笑顔を引き出しましょう。
- 次は、心の広さ、つまり《度量》。たとえば相手の話にじっくり耳を傾ける、聞いてあげることは人間関係にとってとても大切なこと。ぜひ「聞くだけボランティア」を大いにこころざして欲しい。「えくぼには両目を開けて、あばたには片目をつぶれ」と言っている。えくぼ、つまり長所はしっかり両目を開けて見てあげて、欠点のあばたは見てみぬふりをしてあげる。
- スピーチをスマートにやるためには《三づくし》を頭に置いて話してみる。これは言いたいことを「3つに絞る」というもので、4つ以上になると 相手は消化不良を起こしてしまう。実は、何を言いたいのかがわからない人が意外と多い。キーワー ドは、「単純明快、具体的でわかりやすい」。
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コミュニケーションを卒業し、次に素晴らしい仲間を味方につけるためには、自分を売り込む技術を身につけることだる。人を 引きつけるには自己PRをすればよいのだが、失敗してしまうのは、自己宣伝つまり《コマーシャル》をしてしまうから だ。しかしPRは「ラブミー」、つまり「自分を愛して欲しい、理解して欲しい、好きになって欲しい」という気持ちの表現 なのである。現実問題、自分のことで頭が一杯になりがちな今日、自分から「ラブミー・コール」をしなければ相手はわかってはくれない。自分をわかってもらうための努力を怠ってはいけない。
<つきあい六法>
- らしき生きる。 自分らしく生き抜くことで迫力が生まれる。
- 好奇心 人間に関わることすべ てに関心を持つ。好奇心のある人は教養のある人になっていく。教養のある人とは、いかに多くの《無駄》をしてきたか、無駄 の累積が教養である。「人付き合いの無駄・読書の無駄・よろず体験の無駄」、いろいろな無駄から人を楽しませる話題を豊富に持っている人です。
- 自然流 人付き合いは自然体で構えずにやるのが一番。それを「騙されまい、馬鹿にされまい」と構え る人がいる。構えられるととっつきにくいことになって、ぜんぜん面白くない。
- 人間行脚 自分にないものを持つ人を探すように心がける。
- あそび心 遊び心を持つ人というのは大人の付き合いができる。人間性が非常に豊かになる。仕事をやった分 だけ一生懸命に遊ぶバランス感覚が、人間性を豊かにする。仕事だけの人は無味乾燥、人間的な香りがないです。《遊ぶ》こと で人間性が豊かになっていく。
- 芝居心 自分が脇役になって舞台が楽しくなるよう心がける。そうやって自分自身のサービス精神を発揮する。
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<しん友探しの方法>
- 「しん友」とは、「幸福感を増やし合える友達」のことで、いい仲間を総称する。真友、信友、心友、深友、親友といろいろある。相手をどう位置付けるかによって異なる。
- いい仲間探しの最初にやるべきことは、(地域の縁など)何かの《縁》にこだわって、その延長線に仲間をつかむということである。「友達の友達は友達」。いい仲間の延長線上に、またいい仲間が増えていく 。どうでもいい人は封じ込めてしまえばいい。
- キャッチングマインドを磨くこと
- 名刺交換はキャッチフレーズで 名刺にキャッチフレーズを入れておく
- 人間関係の極意が《ギブ・アンド・ギブ》である。《ギブ・アンド・テイク》というビジネス感覚を、 絶対に人間関係に持ち込んではいけない。あの人と付き合うと得だとか損だとか、計算感覚は見抜かれて離れていく。ギブ・アンド・ギブとは、自分のできることをさりげなく徹底的にやればいいということである。何事にも惜しみない協力が出来る人間、相手を思いやれる人間になることである。
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以上 |
(所感)
- 仕事人間が、リタイア後特に趣味もなく引きこもってしまう例がありますが、地域社会に積極的に参加して、仲間づくりひいては新友づくりすることは老後を生きがいのあるものにするために重要であります。その観点で青木氏の講演は参考になります。今度JALの会長になった稲盛和夫氏は「世のため人のため」活動すると述べられているが、まさに「ギブ・アンド・ギブ」の精神だと思います。ギブ・アンド・ギブの精神で人間関係を構築すれば仲間も増え、大きな意味でお返し(はね返り)があり、きっといいことがあると考えます。
- 盛りたくさんでありましが、コミュニケーションの方法など、各論でも参考になること多かったです。
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